甘く苦く君を思う
「渚ちゃんはふーーーってできる?」

「できるー」

そんな軽口をたたくが本当にできるのかわからない。遊びでジュースのパックに空気を入れることがあってもどの程度意図的なのかはまだ2歳の子供のすることなので不明だ。
そんな渚にシャボン玉をふく練習をさせていた。自分の人差し指に何度も息を吹きかけさせている。そしてうまくできそうなのを確認したのかまず昴さんがシャボン玉をやって見せた。

「すごーい」

渚はシャボン玉を見て手を叩いて喜んでいる。そして割れてしまうのを不思議そうに見ていた。

「こうやってジャンプしてタッチしてごらん」

彼がそういうとシャボン玉に向かってジャンプしていた。でも渚にとってはジャンプかもしれないが私から見れば全く飛べていない。エイッという声だけなので見ていておかしくなってしまう。すると彼は渚の掛け声に合わせ体を持ち上げてくれていた。

「わぁぁぁぁ」

背の高い彼に持ち上げられ、一気に視界が高くなったのだろう。その嬉しそうな声に彼の表情が緩んでいた。シャボン玉を吹いては彼がジャンプを手伝っていて、何度も繰り返していて疲れてしまわないかと心配になる。

「渚、そんなに何回もお願いしたら疲れちゃうからダメよ」

「えーーー」

「大丈夫だよ。でも今度は渚ちゃんが吹いてみようか。さっきみたいにふーってするんだよ」

彼に教えられた通りにストローを勢いよく吹くとたくさんのシャボン玉が飛び出してきた。

「すっごーい」

「上手だな」

渚の頭をそっと撫でる彼の表情はなんだかとても優しくて、胸が熱くなった。
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