甘く苦く君を思う
***
薬を飲んで静かに寝ていたが、夜中にまた熱が上がり渚はなかなかぐっすりと寝付けないようだった。
飲み物を飲ませたり抱いてあやしたりと夜中つきっきりの看病になった。ようやく明け方少し落ち着いてきたのかウトウトし始めたところで私は幸子さんに今日休みが欲しいと思う連絡をした。するとすぐに返信があり、もちろん休んでいいことと渚を心配していることが書かれていた。滅多に体調を崩すことがなかったので幸子さんの心配っぷりが目に浮かぶようだ。ただの風邪であると伝えるとホッとしたようだった。
私も渚の隣で横になるといつの間にか眠ってしまっていた。
お昼を過ぎ、渚の声で起きるとハッと飛び起きた。

「渚? 具合はどう?」

「のどかわいた」

「そうね、りんごジュース飲む?」

昴さんが昨日買ってきてくれた袋の中に100%のジュースが入っていたのを思い出した。すると渚は笑顔になり喜んでいた。マグに入れると一気に飲み干してしまっていた。熱を測るとまだ微熱が残っているが昨日に比べて活気があるので少し安心した。彼が買ってきてくれた袋にはうどんも入っており、それを作ってあげるとこれも完食してくれた。
午後になっても渚はゴロゴロと布団の上で過ごしていた。テレビをつけ、子供番組を見せると立ち上がり、踊り始めるくらいに元気が出てきたので一安心だ。なんだかこうしてのんびり渚と過ごすのはいつぶりだろう。渚が疲れて熱を出すほどに無理をさせてしまっていたのだと思うと胸が痛い。
19時を過ぎた頃、不意に玄関のチャイムが鳴らされた。インターホンを見ると昴さんの姿があった。
それを見つけた渚は玄関に行き、ドアを開けてしまう。

「おじちゃん!」

目を輝かし飛び出た渚に彼は驚いていたがさっと抱き上げていた。

「お、元気になったか? よかったな。はい、お土産だよ」

その優しい声に私も懐かしさと温かさを感じる。渚は彼の手にあるアイスの袋を渡されると喜んでジャンプして彼の腕から飛び出してきた。

「ままー、アイス」

「渚、勝手にドアを開けらたダメでしょう」

そう言いながら沙夜も玄関に出てきた。
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