甘く苦く君を思う
「今まで心配かけてごめんなさい。彼とすれ違ってしまったのは私にも原因がある。もっと話合う努力をすべきだったの。だから彼だけが悪いわけじゃない」

「そうね、沙夜。こういうのはどちらかだけが悪いわけじゃないわ。でもお父さんの気持ちもわかってあげてね。こう見えて沙夜のことがいまだに可愛いんだから。親は子供の幸せのためになんだってしてあげたくなるものなのよ」

両親にこんなにも思われていると、その言葉に胸が熱くなった。
そして彼の両親だって同じように息子に良かれと思いとった行動だったのだろう。

「じぃじ。なかよしね」

そんな言葉に思わず笑ってしまった。きっと保育園でこんな場面の時に先生たちがいうのだろう。その言葉に父も思わず表情を緩める。

「あぁ……」

「お父さん、私ももう後悔したくない。だから彼とのことを前向きに考えたいと思ってる。勝手なことばかりしてごめんなさい」

「いや。沙夜がそれでいいなら俺はいい」

そう言うとお茶を啜っていた。
渚が父の隣に移動し、またおしゃべりやおもちゃでの遊びを誘い出すと自然と表情が緩んでいた。
渚には自然とみんなの間を取り持つ特別な何かがあるのではないかと感じる。この子のおかげで全てが丸く収まっていくのを改めて思った。
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