残念令嬢、今世は魔法師になる
 魔力制御のネックレスをつけてから、ますます数値が下がった気もする。
 授業のときだけでも外したい、そう思ったこともある。けれど、また暴走するかもしれない恐怖が、私を踏みとどまらせた。

「でも、二桁よ。確実に成長してるわ」

 周囲の呆れた空気の中、リベラだけが明るく私を励ましてくれた。

「うん。次の目標は50にするよ」
「まあ、次は100でしょう?」

 あっけらかんとそう言うリベラに、私は思わず笑ってしまった。
 なんだか悩んでいる自分がおかしくなる。

「うん。次は100を目指すよ」

 魔法師として生きると、私は決めた。
 それは当初、自分と周囲の未来を変えるための手段だった。

 でも、今は違う。
 私には、守りたいものがたくさんできてしまった。

 私の両親や、友だちになってくれたリベラ。
 それに、王太子フェデルとの今の関係。
 そして、ノエインの未来。

 今世は、みんな幸せになるんだ!

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