ちびっこ息子と俺様社長パパは最愛ママを手放さない
 もしかして、ずっと避けているような私の態度がショックだったのだろうか。秘書との仕事以外の関わりなんて気にしていないと思っていた。
 でも、誰であれ避けられたら傷つくよね。よく考えれば失礼なのに、考えが至らなかったな。
 反省して「すみません」と頭を下げ、密着した体に緊張しつつも彼に身を委ねることにした。


 バーから自分のマンションがある杉並区までは、車で二十分ほど。会社には電車で三十分かけて通っている。
 タクシーの中ではたわいのない話をして、あっという間にこぢんまりとした四階建てのマンションに到着した。家賃が比較的安く、そこまで築年数も経っていない物件なのでわりと気に入っている。
 エントランスまでで十分なのに、副社長はタクシーを下で待たせて三階にある私の部屋まで送ってくれる。案外過保護なのかもと思いつつ、玄関の前で鍵を取り出して彼と向き合う。

「じゃあ、しっかり休めよ」
「はい。送ってくださって本当にありがとうございました。このお礼は後日必ずしますので」

 最後くらいはちゃんとした姿を見せようと、丁寧に頭を下げた。

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