囚われの聖女は俺様騎士団長に寵愛される
「これで信じていただけましたか?」
彼は自分の腕を擦っていた。
そして
「ああ。すまなかった。信じる」
声にハリがなく、驚いているようだったが、納得した様子で信じると言ってくれた。
「治癒力のことは誰が知っているんだ?母親とオスカーだけか?」
「母はオスカーに殺され、死にました。今、この力のことを知っているのは、オスカーの妻であるマーガレット、その周囲の者たちだけだと思います」
平然と答えたつもりだったけれど――。
私の眼から一粒の涙が零れた。
あれ?どうして泣いているんだろう。母のことを考えたから?
あの監獄の中では涙さえ許されなかったから。
精神的に落ち着いたからだろうか。
「申し訳ございません。きっと……。今はあの暗闇の中ではなく、こうやって久しぶりに安心できる環境にいるから、甘えているんだと思います……。母のことを思い出したら……」
私が生まれなければ、母はまだ生きていたんだろうか。
この力がなければ、私たち親子は今でも普通の生活を送っていたんだろうか。
どうやったらあの時母を助けることができたんだろう。
そんな後悔が急に押し寄せてきた。
溢れる涙を拭っていると――。
「俺の前では泣いても良い。すまなかった。辛いことを聞いて。今までよく耐えたな」
熱感が体に伝わってきた。
カートレット様がまるで子どもをあやすかのように肩を優しく抱いてくれた。
「ごめんなさ……」
ヒックヒックと嗚咽しながら肩を上下する私を、彼はそのまましばらく抱いてくれた。
人の温かさに触れたのは、いつぶりだろう。
彼の手は、心地よくて気持ち良い――。
「今メイドにお茶を持ってきてもらう。今日はゆっくり休めば良い」
彼は立ち上がるとメイドを呼び、私にお茶を淹れるように支持をした。
「はい。ありがとうございます」
明日からは私は普通の生活に戻れるのだろうか。
カートレット様は私の力を知った上でどんな判断をするの?
不安がまた押し寄せてくる。
「カートレット様、私はっ」
あれ?
急に立ち上がったからか、眩暈がした。
倒れそうになるところをカートレット様が支えてくれた。
「大丈夫か?アイリス!どうした!?」
ああ、私の名前を呼んでくれた。
なんだかとっても嬉しい――。
彼は自分の腕を擦っていた。
そして
「ああ。すまなかった。信じる」
声にハリがなく、驚いているようだったが、納得した様子で信じると言ってくれた。
「治癒力のことは誰が知っているんだ?母親とオスカーだけか?」
「母はオスカーに殺され、死にました。今、この力のことを知っているのは、オスカーの妻であるマーガレット、その周囲の者たちだけだと思います」
平然と答えたつもりだったけれど――。
私の眼から一粒の涙が零れた。
あれ?どうして泣いているんだろう。母のことを考えたから?
あの監獄の中では涙さえ許されなかったから。
精神的に落ち着いたからだろうか。
「申し訳ございません。きっと……。今はあの暗闇の中ではなく、こうやって久しぶりに安心できる環境にいるから、甘えているんだと思います……。母のことを思い出したら……」
私が生まれなければ、母はまだ生きていたんだろうか。
この力がなければ、私たち親子は今でも普通の生活を送っていたんだろうか。
どうやったらあの時母を助けることができたんだろう。
そんな後悔が急に押し寄せてきた。
溢れる涙を拭っていると――。
「俺の前では泣いても良い。すまなかった。辛いことを聞いて。今までよく耐えたな」
熱感が体に伝わってきた。
カートレット様がまるで子どもをあやすかのように肩を優しく抱いてくれた。
「ごめんなさ……」
ヒックヒックと嗚咽しながら肩を上下する私を、彼はそのまましばらく抱いてくれた。
人の温かさに触れたのは、いつぶりだろう。
彼の手は、心地よくて気持ち良い――。
「今メイドにお茶を持ってきてもらう。今日はゆっくり休めば良い」
彼は立ち上がるとメイドを呼び、私にお茶を淹れるように支持をした。
「はい。ありがとうございます」
明日からは私は普通の生活に戻れるのだろうか。
カートレット様は私の力を知った上でどんな判断をするの?
不安がまた押し寄せてくる。
「カートレット様、私はっ」
あれ?
急に立ち上がったからか、眩暈がした。
倒れそうになるところをカートレット様が支えてくれた。
「大丈夫か?アイリス!どうした!?」
ああ、私の名前を呼んでくれた。
なんだかとっても嬉しい――。