寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「片平さん!」
俺と希美ちゃんには、年の差がある。
とは言っても、一回り違うというレベルではない。
消防学校を卒業後、消防署に配属されたばかりの22歳と、20歳の大学2年生。
つまり、2歳差だ。
そのため彼女は、こちらをさんづけで呼ぶ。
その度に口元を綻ばせて、幸せを噛みしめていたのがよくなかったのかもしれない。
自分の恋心を悟った隊長が何かと理由をつけて自宅に呼んでくれたため、2人の仲は急速に進展した。
あとは、いつ告白するか。
それが問題だ。
俺は最高のタイミングを見計らうことに必死で、いつまで経っても最後の一歩を踏み出せないでいた
そのせいで、あんな悲劇が起きるなど知りもせずに――。
「隊長!」
火災現場から離脱しようと身体を動かしていたところ、2人の行く手を阻むように頭上から炎に塗れた瓦礫の山が降り注ぐ。
咄嗟に避けようとしたが、間に合わない。
後続の上司に危機を知らせるために振り返った俺は、勢いよく隊長に突き飛ばされた。
「武彦くん。希美を、頼む」
まさか、これが最後の言葉になるなど思いもしなかった。
隊長は俺を助けるため、命を落としたのだ。
俺と希美ちゃんには、年の差がある。
とは言っても、一回り違うというレベルではない。
消防学校を卒業後、消防署に配属されたばかりの22歳と、20歳の大学2年生。
つまり、2歳差だ。
そのため彼女は、こちらをさんづけで呼ぶ。
その度に口元を綻ばせて、幸せを噛みしめていたのがよくなかったのかもしれない。
自分の恋心を悟った隊長が何かと理由をつけて自宅に呼んでくれたため、2人の仲は急速に進展した。
あとは、いつ告白するか。
それが問題だ。
俺は最高のタイミングを見計らうことに必死で、いつまで経っても最後の一歩を踏み出せないでいた
そのせいで、あんな悲劇が起きるなど知りもせずに――。
「隊長!」
火災現場から離脱しようと身体を動かしていたところ、2人の行く手を阻むように頭上から炎に塗れた瓦礫の山が降り注ぐ。
咄嗟に避けようとしたが、間に合わない。
後続の上司に危機を知らせるために振り返った俺は、勢いよく隊長に突き飛ばされた。
「武彦くん。希美を、頼む」
まさか、これが最後の言葉になるなど思いもしなかった。
隊長は俺を助けるため、命を落としたのだ。