寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
俺達は、一体どこで間違えたのだろう?
何度も自問自答を繰り返したところで、答えは見つからない。
『片平さん? 希美がどこにいるか、知ってる?』
「いえ……。何かありましたか」
『それが……』
勤務終了後、スマートフォンには隊長の奥さんから着信が何度かあることに気づいて折り返す。
すると、彼女は想像もしていない言葉を口にした。
『リビングのテーブルに、まるで遺書のような手紙が残っていて……』
「あの。内容を伺ってもよろしいでしょうか」
「ええ。もちろんよ」
どうやら希美ちゃんは、「今までありがとう。これからは1人で生きていく」という置き手紙を残して姿を消しているらしい。
俺は上司の奥さんに一言断ってから、希美に電話をかけた。
しかし――。
『お客様のおかけになった番号は……』
何度かけ直しても、聞こえてくるのは、無機質な機械音だけ。
居ても立っても居られずに1日中探し回ったが、彼女の姿は見当たらない。