寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「あなたのぱぱは、もういないの」
「だったら、新しいぱぱを作ればいいんだよ!」
「そんな簡単に……」
「あのね! マリアちゃんは、サンタさんにお願いしたら、新しいぱぱが出来たって言ったもん!」
「それは……」

 保育園の友人――マリアちゃんのお母さんのことは、私もよく知っている。
 シングルマザー仲間で、懇意にしていたからだ。
 しかし、最近は疎遠気味だった。
 それは、彼女が再婚したためだったのだが――親の事情など、子ども達には関係ない。
 どんなに「あの子とは付き合っちゃ駄目よ」と口を酸っぱくして言い聞かせたって、大人の目が届かぬところで交流を深めるものなのだ。

 ――そう。
 自分と、彼のように……。

「夏希も、クリスマスにお願いする! おじしゃん、ぱぱにしてくださいって! そしたらきっと、叶うよね?」

 夏希は新しいぱぱと一緒に暮らす日を夢見て、キラキラと瞳を輝かせた。

 ――こうなるのが嫌だから、男性とは一切かかわらずに生きてきたのに。
 とんだ誤算だ。
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