寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「きゃー! 高いー!」
声を上げて喜ぶ夏希は、大人たちが醸し出す最悪な雰囲気を気に留める様子がない。
子どもを人質に取られてしまった以上、あの子を放置してこの場から立ち去るわけにはいかなかった。
私は顔面蒼白のまま、大嫌いな人の動向を伺い続ける。
「ああ……。やっぱり、気づいてなかったか」
「な、何……を……」
「俺は、すぐにわかった。何年経っても、愛した人の顔を忘れるはずがない。そうだろう? 希美ちゃん」
先に声を発したのは、自分ではなく彼の方だった。
「6年ぶりだな」
相変わらず無口で、何を考えているかよくわからない人だ。
父親が亡くなるまではそういうところが大人っぽくて、いいなぁと思っていた。
彼に対する感情は結局、あの事件をきっかけに憎悪へと変わってしまったが――。
夏希を肩車している無表情の男は、片平武彦さん。
関係を持った当初は、22歳だった。
あれから6年近くが経過するため、今は28歳のはずだ。
――忘れない。
何があっても、絶対に。
この男の容姿と、情報だけは――。
声を上げて喜ぶ夏希は、大人たちが醸し出す最悪な雰囲気を気に留める様子がない。
子どもを人質に取られてしまった以上、あの子を放置してこの場から立ち去るわけにはいかなかった。
私は顔面蒼白のまま、大嫌いな人の動向を伺い続ける。
「ああ……。やっぱり、気づいてなかったか」
「な、何……を……」
「俺は、すぐにわかった。何年経っても、愛した人の顔を忘れるはずがない。そうだろう? 希美ちゃん」
先に声を発したのは、自分ではなく彼の方だった。
「6年ぶりだな」
相変わらず無口で、何を考えているかよくわからない人だ。
父親が亡くなるまではそういうところが大人っぽくて、いいなぁと思っていた。
彼に対する感情は結局、あの事件をきっかけに憎悪へと変わってしまったが――。
夏希を肩車している無表情の男は、片平武彦さん。
関係を持った当初は、22歳だった。
あれから6年近くが経過するため、今は28歳のはずだ。
――忘れない。
何があっても、絶対に。
この男の容姿と、情報だけは――。