寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「そっか……」
「残念だ……」

 夫と夏希は不満そうな声を上げたが、心を鬼にして作業に戻った。

 ――すると、それから5分後。
 ワイキャイと楽しく会話をしていた親子が、いつの間にか眠っていることに気づく。

 ――こうして目を閉じている姿が見られるなんて、夢にも思わなかった。

 天使のような愛娘と、嫌悪している夫。
 そんな2人が無防備な状態で、寝転がっている。

「布団もかけないで……」

 私はやれやれと肩を竦めながら、寝室からタオルケットを引っ張り出して身体にかけてやった。
 子どもが体調を崩すのだけは、どうしても避けたかったからだ。

 ――武彦さんは私の本心を知っているのに、よくもまぁこんなところで眠れるよね……。

 こちらにその気があれば、今頃彼の命は失われていただろう。

 ――夫が感謝するべきは、自分が彼を殺したいほど憎んでいないことか。
 それとも、夏希を授かったことか――。
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