寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「何味がいい?」
「これ! いつもの! おいしいやつ!」

 私たちはアイスを販売しているトゥエンティーツーの店内に到着し、メニュー表を手に取って夏希にお伺いを立てる。
 彼女は口の中でパチパチと弾けるアイスが大のお気に入りらしく、満面の笑みを浮かべてそれを指差した。

「いらっしゃいませ。ご注文がお決まりでしたら、お伺いいたします」
「店内で食べます。カップのダブル、キッズサイズで。フレーバーは、ガトーショコラストロベリーとカラフルポッピング」
「かしこまりました」
「あいす~。あいすー!」

 私が店員に注文をしている間、夏希は待ち切れない様子でキラキラと瞳を輝かせながらアイスが提供されるのを待っている。
 会計を済ませれば、あっという間に手元へカップが差し出された。

「あいす!」
「ちゃんと、お椅子に座ってから食べようね」
「まま、はやくー!」
「うん」

 財布を仕舞ってイートインスペースに向かい、片手で重い椅子を後ろに動かす。
 こういう時は男出があればいいのになと思うこともあるが、ないものねだりをしたって無意味だ。
 娘を座らせてから自分も腰を下ろし、スプーンを渡してアイスカップを机の上に置いた。
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