寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
「私たちって、真逆だよね」
「だからこそ、惹かれ合ったんだ。俺は君の手を離す気なんて、更々ない。今までも、これからも……」

 彼は指先を絡め、恋人繋ぎをする。
 そこから伝わる暖かな熱と、夫の胸の中で気持ちよさそうに寝息を立てる愛娘の姿を見ていると、段々毒気が抜けてくる。
 私は唇を噛みしめ、言葉を絞り出す。

「あなたが最低で最悪な人だったら、嫌いで居続けられたのに……」
「もう、復讐は終わりか」

 夫のいい方は、「本当に終わらせて構わないのか」とこちらに問いかけているようだった。

 ――私の復讐はあなたと再会した時点で終わっている。

 さすがにそこまで正直に言う気にもなれず、当たらずとも遠からずな言葉で濁した。

「あの子のあんな姿を見てしまったら、意地なんて張ってられないよ」
「夏希、様々だな。俺達の元に生まれてきてくれたことを、感謝しなければ……」

 2人はどちらとなく顔を動かし、唇を触れ合わせた。
 最初は触れ合うだけのキスは、やがて舌を絡め合う情熱的な接吻に変わる。
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