寡黙な消防士は秘密の娘ごと、復讐を終えた妻を溺愛する
 彼は私の腰元を抱き寄せたままその場にしゃがみ、スイカを手にした夏希を器用に持ち上げて肩に乗せた。

「きゃっ。たかーい!」
「これからは家族3人で、平和な日常を過ごそう」
「うん! みんなで、すいかー!」

 夏希は手にしたスイカを小さな口でぱくんと咥え、服が汚れるのも厭わずに食べ進める。

 ――まったく、この子は……。

 そんな子どもの姿を呆れたように見つめていれば、自然と笑みが浮かんだ。

「口元、汁がついてるよ。ちゃんと拭おうね」
「まま、笑ってる! ニコニコ!」
「夏希がすごくおいしいそうに、スイカを食べている姿を見たら……なんだか、楽しくなっちゃって……」
「ぱぱがいるからでしょ?」

 私の笑みを目にした娘は、当然のように武彦さんのおかげだよねと告げる。
 今までの自分だったら、そんなわけがないと即座に異を唱えるつもりだった。
 でも……。
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