呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
ベルティーナの方を一瞥して、ミランは少しばかり照れくさそうに言った。それを見ていたマルテはぱちりと手を合わせて、「あらまあ~」なんて嬉しそうに笑みをこぼした。
「そういうわけだ。本当に用事はこれだけで悪い。また暇ができたときでも顔を出しに来るし、チビどもの相手もする」
「ええ。ミランちゃんならいつだって大歓迎よ。またいつでも待っているわ」
マルテがにこりと嬉しそうに笑んだまま、ベルティーナの方に視線を移す。だが、ベルティーナを見た途端、マルテは目を丸くして口元を覆った。
「やだわぁ……あまりに騒がしかったせいで、私、王女様のお名前を伺ってなかったわ」
「ええ、ベルティーナよ」
──以後、お見知りおきを、とベルティーナはドレスの裾をつまんで会釈した。するとマルテは人の良さそうな笑みを浮かべてベルティーナを見つめた。
「そうなの、ベルちゃんなのね。ベルちゃんも是非一緒にいらっしゃい」
──ベル、ベル様。この愛称にはさすがにもう慣れてきたものだが、まるで可愛らしいものを呼ぶような「ちゃん」付けは初めてだ。
呼ばれたベルティーナは唖然としてしまう。だが、自分よりも圧倒的に年上の初老の女性に言われると、あまり嫌な気はしないもので、ベルティーナは「ええ」と肯定し、唇を綻ばせた。
「そういうわけだ。じゃあ、また近いうちにでも顔を出す」
ミランは会釈し、ベルティーナの手を取り、その場を去った。
***
葡萄畑の麓を通り過ぎ、菩提樹の生い茂る林道へ。果たしていったいどこに向かっているのか、依然として分からないまま、ベルティーナはミランの後をついて歩んでいた。
「さっきのお宅は……貴方の叔母様の家だったのね」
「ああ、そうだな」
「ナハトベルグでは王族の親族も王城に住んでいるわけではないのね?」
自分の住んでいたヴェルメブルグ城は、王族とその血縁者のほとんどが皆あの王城に住んでいると聞いていた。
それに、本の中で見る物語でも、王族は血縁者を含め多くが王城で暮らしている。だから、そういうものだと思い込んでいたものだが……規律が違うように、このあたりの文化も違うのだろうか。ベルティーナは不思議に思って、隣を歩むミランを一瞥した。
「そういうわけだ。本当に用事はこれだけで悪い。また暇ができたときでも顔を出しに来るし、チビどもの相手もする」
「ええ。ミランちゃんならいつだって大歓迎よ。またいつでも待っているわ」
マルテがにこりと嬉しそうに笑んだまま、ベルティーナの方に視線を移す。だが、ベルティーナを見た途端、マルテは目を丸くして口元を覆った。
「やだわぁ……あまりに騒がしかったせいで、私、王女様のお名前を伺ってなかったわ」
「ええ、ベルティーナよ」
──以後、お見知りおきを、とベルティーナはドレスの裾をつまんで会釈した。するとマルテは人の良さそうな笑みを浮かべてベルティーナを見つめた。
「そうなの、ベルちゃんなのね。ベルちゃんも是非一緒にいらっしゃい」
──ベル、ベル様。この愛称にはさすがにもう慣れてきたものだが、まるで可愛らしいものを呼ぶような「ちゃん」付けは初めてだ。
呼ばれたベルティーナは唖然としてしまう。だが、自分よりも圧倒的に年上の初老の女性に言われると、あまり嫌な気はしないもので、ベルティーナは「ええ」と肯定し、唇を綻ばせた。
「そういうわけだ。じゃあ、また近いうちにでも顔を出す」
ミランは会釈し、ベルティーナの手を取り、その場を去った。
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葡萄畑の麓を通り過ぎ、菩提樹の生い茂る林道へ。果たしていったいどこに向かっているのか、依然として分からないまま、ベルティーナはミランの後をついて歩んでいた。
「さっきのお宅は……貴方の叔母様の家だったのね」
「ああ、そうだな」
「ナハトベルグでは王族の親族も王城に住んでいるわけではないのね?」
自分の住んでいたヴェルメブルグ城は、王族とその血縁者のほとんどが皆あの王城に住んでいると聞いていた。
それに、本の中で見る物語でも、王族は血縁者を含め多くが王城で暮らしている。だから、そういうものだと思い込んでいたものだが……規律が違うように、このあたりの文化も違うのだろうか。ベルティーナは不思議に思って、隣を歩むミランを一瞥した。