呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
そうして二人は黙って、お茶を飲み始めたわけだが……。
その後、会話は皆無だった。何せ、変なことを言われたばかりだ。本当にそうされないと思えてしまう部分もあるもので、余計な刺激を与えるべきではないと、ベルティーナは黙ってお茶を啜り続けた。
だが、それでもいい加減にこの静寂の間が気味悪かった。
つい最近まで逆に気楽とは思えていたものだが、あれだけ話をしていたのだ。さすがに居心地が悪く思えてしまうもので、ベルティーナはカップを置き、ミランの方を一瞥した。
「……で、貴方はわざわざふざけた冗談を言うために来たの?」
「いや、まったく違う頼みがあってな。別に大したことでもないが……」
そこまで言うと、ミランは言い淀み、口を噤んだ。
「何よ。はっきり言わないとかえって気持ち悪いわ。知ってるかもしれないけど、私、ちょっと短気だと思うの。イライラする前に言ってちょうだい」
「……いい加減に俺も名前で呼ばれたいと思っただけ」
極めて優しい口調。それも目を見て言われたものだから、ベルティーナの頬に熱が上った。
なんだ、そんなことか……と安堵したが、それはそれで照れ臭い。
「分かったわ、ミラン王子」
ぽつりとベルティーナが言うと、「やり直し、名前だけで」とすぐに指摘が入った。
「分かったわよ、ミラン」
投げやりになって言った直後だった。少しばかり彼が身を動かした。その瞬間──額に柔らかなものが触れた気がして、ベルティーナは目を瞠った。
「それでいい。頼みはそれだけ。じゃあ、おやすみ」
そう言うと、彼は立ち上がり、夫婦の部屋をつなぐ通路へと向かって行った。
ソファに座ったまま、ベルティーナは放心していた。
あれは、間違いなく額に唇を落とされたのだろうと……。頬がやけに熱く、ベルティーナは彼の唇が触れたであろう額に触れ、唇を噛んだ。
途端に胸の紋様がじんと熱くなった。それは自分が何か満たされたという何よりの証で……。
それを自覚するとひどく恥ずかしく感じてしまい、ベルティーナは逃げるようにベッドに潜り込んだ。
その後、会話は皆無だった。何せ、変なことを言われたばかりだ。本当にそうされないと思えてしまう部分もあるもので、余計な刺激を与えるべきではないと、ベルティーナは黙ってお茶を啜り続けた。
だが、それでもいい加減にこの静寂の間が気味悪かった。
つい最近まで逆に気楽とは思えていたものだが、あれだけ話をしていたのだ。さすがに居心地が悪く思えてしまうもので、ベルティーナはカップを置き、ミランの方を一瞥した。
「……で、貴方はわざわざふざけた冗談を言うために来たの?」
「いや、まったく違う頼みがあってな。別に大したことでもないが……」
そこまで言うと、ミランは言い淀み、口を噤んだ。
「何よ。はっきり言わないとかえって気持ち悪いわ。知ってるかもしれないけど、私、ちょっと短気だと思うの。イライラする前に言ってちょうだい」
「……いい加減に俺も名前で呼ばれたいと思っただけ」
極めて優しい口調。それも目を見て言われたものだから、ベルティーナの頬に熱が上った。
なんだ、そんなことか……と安堵したが、それはそれで照れ臭い。
「分かったわ、ミラン王子」
ぽつりとベルティーナが言うと、「やり直し、名前だけで」とすぐに指摘が入った。
「分かったわよ、ミラン」
投げやりになって言った直後だった。少しばかり彼が身を動かした。その瞬間──額に柔らかなものが触れた気がして、ベルティーナは目を瞠った。
「それでいい。頼みはそれだけ。じゃあ、おやすみ」
そう言うと、彼は立ち上がり、夫婦の部屋をつなぐ通路へと向かって行った。
ソファに座ったまま、ベルティーナは放心していた。
あれは、間違いなく額に唇を落とされたのだろうと……。頬がやけに熱く、ベルティーナは彼の唇が触れたであろう額に触れ、唇を噛んだ。
途端に胸の紋様がじんと熱くなった。それは自分が何か満たされたという何よりの証で……。
それを自覚するとひどく恥ずかしく感じてしまい、ベルティーナは逃げるようにベッドに潜り込んだ。