呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
しかし、まさかこんなにも屈強そうな竜が野犬に襲われるなど……。それがあまりに滑稽に思えてしまい、ベルティーナが思わず笑みをこぼしてしまうと、歪んだ視界の中でも彼が目を細めたことが分かった。
「と……いうわけだ。俺もその頃はまだ子どもだったわけだし、若気の至りだ」
きっぱりと彼は言い、ベルティーナの背をぽんぽんと叩いた。
しかし、たまに合う焦点で薄々と分かるものだが、彼の服がぼろぼろになっていて、額から血を流している様子には本当に罪悪感ばかり感じてしまうものだった。
「何より、ミラン。本当にごめんなさい。私、どんな罰だって受けるわ。貴方がしたいように罰すればいいわ……」
素直に謝罪すれば、ミランはベルティーナの髪を撫でていた手をぴたりと止めて、思案顔になる。
「……そう、だな? ベルの茨の鞭も牙も、結構痛かったからな。あとお前、多分背中の茨に神経毒でも持ってるだろ。こんくらいじゃ大丈夫だろうが、クラクラするし痺れるし熱い……」
──後で、少しばかりのお仕置きくらいはさせてくれ、なんて穏やかにミランに言われ、ベルティーナは素直に頷いた。
「何より、夜の祝福おめでとう。翳りの国は改めてベルを同胞として、俺の花嫁として、お前を心から歓迎する」
そう言って、額に口づけを落としたミランは、ベルティーナの手を取った。
燦々とした陽光が降り注ぐ遠浅の海、二人は手を繋いで歩む。
華やかな竜と思しき少女と黒鱗の竜の青年。二人は、おぼつかない足取りで陸を目指した。
「と……いうわけだ。俺もその頃はまだ子どもだったわけだし、若気の至りだ」
きっぱりと彼は言い、ベルティーナの背をぽんぽんと叩いた。
しかし、たまに合う焦点で薄々と分かるものだが、彼の服がぼろぼろになっていて、額から血を流している様子には本当に罪悪感ばかり感じてしまうものだった。
「何より、ミラン。本当にごめんなさい。私、どんな罰だって受けるわ。貴方がしたいように罰すればいいわ……」
素直に謝罪すれば、ミランはベルティーナの髪を撫でていた手をぴたりと止めて、思案顔になる。
「……そう、だな? ベルの茨の鞭も牙も、結構痛かったからな。あとお前、多分背中の茨に神経毒でも持ってるだろ。こんくらいじゃ大丈夫だろうが、クラクラするし痺れるし熱い……」
──後で、少しばかりのお仕置きくらいはさせてくれ、なんて穏やかにミランに言われ、ベルティーナは素直に頷いた。
「何より、夜の祝福おめでとう。翳りの国は改めてベルを同胞として、俺の花嫁として、お前を心から歓迎する」
そう言って、額に口づけを落としたミランは、ベルティーナの手を取った。
燦々とした陽光が降り注ぐ遠浅の海、二人は手を繋いで歩む。
華やかな竜と思しき少女と黒鱗の竜の青年。二人は、おぼつかない足取りで陸を目指した。