呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
しかし、彼が薄く笑んでいることから、何だか嫌な予感しかしなかった。きっと自分に罪人気分でも味わわせるために、しばらくこの塔の中に閉じ込めるのだろうと……。
とはいえ、元々が塔暮らしだ。薄暗い場所には慣れているし、狭い場所だって苦手ではない。別にこれで恐怖なんて感じることもなく、まったく罰にならないだろう。
そう思ったものだが……塔の中に入って、ベルティーナは呆気に取られてしまった。
その中は、聞いていた倉庫とはかけ離れていたのだ。
──塔の奥には簡素なベッド。そこには清潔なシーツが敷かれており、部屋の片隅には浴槽と思しき大きな桶が設置されている。
それに、中央にはテーブルがあり、それを挟んで二人分の椅子が置かれていた。それに、燭台や棚などの調度品もあるもので……。
果たしていったいこれはどういうことなのだろうか……。
ベルティーナは眉をひそめて空間を一望した。しかし、どこか既視感がある景色のようにベルティーナは思う。
ふと連想するのは、ヴェルメブルグ城にある自分が十七年間住んでいた塔の中で……。
「どういうことなの……これは」
ベルティーナはミランを一瞥して訊くと、「気に入った?」なんて、彼はベルティーナに穏やかに尋ねる。
「そうじゃなくて。この部屋はどういうこと……この見張り塔は物置だと聞いていたわ」
「ああ、これな。ベルが元々が塔暮らしって知ってたから……気晴らしにもなるだろうし、あくまで最低限の生活ができるように用意しておいたんだよ。しっかりと明かりもつくし、本を持ち込めば読書もできるだろうし。庭園いじりの休憩に使ってもらいたいって、森林火災のとき負傷者の治療をああまでして頑張ってくれたからお礼にな」
──こっそり用意してた秘密の部屋、なんて照れくさそうに言うものだから、ベルティーナは思わず笑ってしまった。
「で、それで……私がここでしばらく一人で暮らすことが罰ってことかしら?」
──そんなのまったく罰にもならない、ときっぱりと言うと、彼はすぐに首を振った。
「いいや、一人じゃない。カラスじゃない俺と二人きりでな」
──それが罰、と彼が毅然として言うものだから、ベルティーナは目を瞠った。
「嫌か?」
「嫌かどうかじゃなくて……ミラン。貴方、番人の仕事は?」
とはいえ、元々が塔暮らしだ。薄暗い場所には慣れているし、狭い場所だって苦手ではない。別にこれで恐怖なんて感じることもなく、まったく罰にならないだろう。
そう思ったものだが……塔の中に入って、ベルティーナは呆気に取られてしまった。
その中は、聞いていた倉庫とはかけ離れていたのだ。
──塔の奥には簡素なベッド。そこには清潔なシーツが敷かれており、部屋の片隅には浴槽と思しき大きな桶が設置されている。
それに、中央にはテーブルがあり、それを挟んで二人分の椅子が置かれていた。それに、燭台や棚などの調度品もあるもので……。
果たしていったいこれはどういうことなのだろうか……。
ベルティーナは眉をひそめて空間を一望した。しかし、どこか既視感がある景色のようにベルティーナは思う。
ふと連想するのは、ヴェルメブルグ城にある自分が十七年間住んでいた塔の中で……。
「どういうことなの……これは」
ベルティーナはミランを一瞥して訊くと、「気に入った?」なんて、彼はベルティーナに穏やかに尋ねる。
「そうじゃなくて。この部屋はどういうこと……この見張り塔は物置だと聞いていたわ」
「ああ、これな。ベルが元々が塔暮らしって知ってたから……気晴らしにもなるだろうし、あくまで最低限の生活ができるように用意しておいたんだよ。しっかりと明かりもつくし、本を持ち込めば読書もできるだろうし。庭園いじりの休憩に使ってもらいたいって、森林火災のとき負傷者の治療をああまでして頑張ってくれたからお礼にな」
──こっそり用意してた秘密の部屋、なんて照れくさそうに言うものだから、ベルティーナは思わず笑ってしまった。
「で、それで……私がここでしばらく一人で暮らすことが罰ってことかしら?」
──そんなのまったく罰にもならない、ときっぱりと言うと、彼はすぐに首を振った。
「いいや、一人じゃない。カラスじゃない俺と二人きりでな」
──それが罰、と彼が毅然として言うものだから、ベルティーナは目を瞠った。
「嫌か?」
「嫌かどうかじゃなくて……ミラン。貴方、番人の仕事は?」