呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
しかし女王は真っ直ぐに息子の姿を見据えて、すぐに立ちあがる。だが、女王はすぐにふらつき──その直後、彼女は半人の姿に戻った。
ヴァネッサ女王はあまりにもぼろぼろだった。青光りする漆黒のドレスも所々破れており、彼女は糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
「ヴァネッサ女王!」
ベルティーナはすぐに女王の元へと走り、その身を抱いて起こし上げた。
「ああ、ベルティーナ王女か。何だ、しっかり夜の祝福を受けておるではないか……」
──綺麗な色になったもんだ。と、毛先にいくほど薄紫に色づいたベルティーナの髪を掬って、ヴァネッサ女王は優しく微笑む。
だが、ベルティーナは何も答えずに首を振って、背後に待機していた女王の護衛を呼んだ。
負けたら許さないとミランに言ったが、やはりこうも重傷だと気がかりだった。
それに自分が壊した城のことだってそうだ。ベルティーナは心配そうな表情で女王を見下ろしたが、彼女は首を振って、またも優しく微笑んだ。
「その顔、壊した城のことでも気にしてるだろうね。いいさ、いいさ。それに、これしき大した怪我でもない。私たちはとても強い種族だ。ほら、お前は私の馬鹿息子のところに早く行っておやり」
──また城に戻ったら、私の怪我の状態でも見てやってくれ。
なんて続けざまに言うものだから、ベルティーナは頷いた後に女王を護衛たちに託した。
自分の前方に立つのは大きな黒竜──ミランは夥しい血を流して荒い息を吐き出している。その形相は恐ろしかった。それでも、ベルティーナは臆することなく颯爽とミランに近づくなり、きっと目を釣り上げて彼を睨み据えた。
「……あっ、ベル。あの……」
少しばかり気まずそうに言って彼が姿を解いたそのときだった──その瞬間、ベルティーナは腰から伸びた蔦を伸ばし、彼の腹に痛烈な一撃を加えた。
一瞬にしてミランは吹き飛ばされ、地面に転がった。
加減なんて分からない。だが、それでもこれしきで彼にとどめを刺せるはずもないと分かっている。
ベルティーナはつかつかと転がっているミランに近づき、冷たい瞳で彼を睨み据えた。
「いで……」
案の定、大したダメージでもなかったのだろう。
彼は腹を抑えて少しばかり気まずそうに目を反らした。その様子にベルティーナはなおさら苛立ち、牙が見えるほどに大きく息を吸い込んだ。
ヴァネッサ女王はあまりにもぼろぼろだった。青光りする漆黒のドレスも所々破れており、彼女は糸が切れたようにその場に崩れ落ちた。
「ヴァネッサ女王!」
ベルティーナはすぐに女王の元へと走り、その身を抱いて起こし上げた。
「ああ、ベルティーナ王女か。何だ、しっかり夜の祝福を受けておるではないか……」
──綺麗な色になったもんだ。と、毛先にいくほど薄紫に色づいたベルティーナの髪を掬って、ヴァネッサ女王は優しく微笑む。
だが、ベルティーナは何も答えずに首を振って、背後に待機していた女王の護衛を呼んだ。
負けたら許さないとミランに言ったが、やはりこうも重傷だと気がかりだった。
それに自分が壊した城のことだってそうだ。ベルティーナは心配そうな表情で女王を見下ろしたが、彼女は首を振って、またも優しく微笑んだ。
「その顔、壊した城のことでも気にしてるだろうね。いいさ、いいさ。それに、これしき大した怪我でもない。私たちはとても強い種族だ。ほら、お前は私の馬鹿息子のところに早く行っておやり」
──また城に戻ったら、私の怪我の状態でも見てやってくれ。
なんて続けざまに言うものだから、ベルティーナは頷いた後に女王を護衛たちに託した。
自分の前方に立つのは大きな黒竜──ミランは夥しい血を流して荒い息を吐き出している。その形相は恐ろしかった。それでも、ベルティーナは臆することなく颯爽とミランに近づくなり、きっと目を釣り上げて彼を睨み据えた。
「……あっ、ベル。あの……」
少しばかり気まずそうに言って彼が姿を解いたそのときだった──その瞬間、ベルティーナは腰から伸びた蔦を伸ばし、彼の腹に痛烈な一撃を加えた。
一瞬にしてミランは吹き飛ばされ、地面に転がった。
加減なんて分からない。だが、それでもこれしきで彼にとどめを刺せるはずもないと分かっている。
ベルティーナはつかつかと転がっているミランに近づき、冷たい瞳で彼を睨み据えた。
「いで……」
案の定、大したダメージでもなかったのだろう。
彼は腹を抑えて少しばかり気まずそうに目を反らした。その様子にベルティーナはなおさら苛立ち、牙が見えるほどに大きく息を吸い込んだ。