呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
 ベルティーナがため息をついた矢先、姿見の中でハンナと目が合った。それに驚いたのだろう。ハンナはぴくりと背を震わせた。

「ねえ。あえて人間の貴女に()くけど、内心では破廉恥だと思って笑ってないかしら?」

 棘を含ませ、淡々とした調子でベルティーナが()くと、ハンナは昨日までとはうって変わって怯むこともなく、目を輝かせていた。

「とんでもございません! 妖しくも儚い雰囲気がとてつもなく美しいと思いますよ!」
 と、姿見越しに彼女は言う。

 彼女の光が躍る瞳を見る限り、嘘ではないだろうと思った。それに含み笑いもしていない。
 ただそれだけで、自分の装いが変ではないと悟り、胸を撫で下ろしたベルティーナは緩やかに振り返った。

「そう、ありがとう」

 そっけなくベルティーナが礼を述べると、ハンナはどこか嬉しそうに微笑んだ。


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