呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
 愛する男女が結ばれるもの。そう書かれていたが、政略結婚で想いを通い合い、幸せになった物語もたくさん読んだことがある。
 だから、たとえ定められた婚姻であれ、忌まれた自分の存在を認められ、この世界で孤独ではなく少しでも幸せになれたら……と、期待していたことを改めて悟り、ベルティーナは俯いた。

 しかし、彼は自分のことなど眼中にない。それどころか、明らかに拒むようなことを言ったのだ。

(……だから私は、動揺した。そして、少しだけ……傷ついた)

 そう悟った途端、ベルティーナのアイスブルーの瞳はわずかに潤んだ。

(何を期待していたのよ。馬鹿みたいじゃない……)

 ソファにもたれたベルティーナは、熱を持ち始めた瞼をきつく閉ざした。

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