呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
第15話 城下の雑踏の賑わいの中で
「せっかく、お庭をもっと好きに使っていいと言われたのです! どうせなら城下に新しい苗や苗木などを見に行きませんか?」
目を輝かせた双子の猫侍女に提案されたのは、ついさっき、休憩の最中だった。
あまりに唐突な提案だ。だが、ときどき双子の猫侍女とハンナが二人ずつ交代で席を外すことから、この外出を目論んだのだと安易に悟れたし、彼女たちなりの気遣いの計らいだろうとベルティーナは思った。
別に拒否するようなことでもないとは思う。
だが、勝手に城を出ていいものかと悩ましく思う。その旨を伝えてみたところ、双子の猫侍女たちは「心配しなくて大丈夫ですよぉ~」なんて随分と気の抜けた返事をした。
何やら、ナハトベルグの街は治安もいいそうで……妙な心配は無用だろうとのこと。
「それにイーリスたちは生まれも育ちも生粋のナハトベルグっ子。つまりはかなりの都会っ子なんです!」
「そうです! 都会っ子だからこそ街には詳しいです! ロートスたちに任せてください!」
それも、胸を叩いて自信満々に言われたものだから、ベルティーナは彼女たちに従った。
──まるでヴェルメブルグの生き写し。斜面さえあれば葡萄畑だらけなこの地を都会と言うかはまったく不明ではあるが……。と、そんなことを思いつつ、ベルティーナはわずかに後ろを振り返り、背後に聳える城を一瞥した。
「本当に大丈夫なのかしら」
「大丈夫ですよ。少し市場に行くだけですもん。城は目と鼻の先。街まですぐですよ?」
「でも私、お金は持っていないわよ?」
そもそも、この国に通貨が存在するのかも知らないままだ。ベルティーナが眉を寄せると、彼女たちは「ふふーん」と強気な表情を見せた。
「それはご心配なく! イーリスたちは幾らかお賃金の金貨を持ってますもん!」
「それにですねぇ……苗ってお野菜や切り花を買うより安価なんです。だからベル様は吟味してロートスたちに欲しい苗を言ってくださいませ! 大船に乗ったつもりで!」
またも、胸を叩いて威風堂々と言われた。
しかしその数拍後……「お城に帰ったら経費で落としたいので、ベル様の権力ちょっと借りたいです~」なんて甘えるように言われるものだから、ベルティーナは思わず苦笑いを浮かべてしまう。
目を輝かせた双子の猫侍女に提案されたのは、ついさっき、休憩の最中だった。
あまりに唐突な提案だ。だが、ときどき双子の猫侍女とハンナが二人ずつ交代で席を外すことから、この外出を目論んだのだと安易に悟れたし、彼女たちなりの気遣いの計らいだろうとベルティーナは思った。
別に拒否するようなことでもないとは思う。
だが、勝手に城を出ていいものかと悩ましく思う。その旨を伝えてみたところ、双子の猫侍女たちは「心配しなくて大丈夫ですよぉ~」なんて随分と気の抜けた返事をした。
何やら、ナハトベルグの街は治安もいいそうで……妙な心配は無用だろうとのこと。
「それにイーリスたちは生まれも育ちも生粋のナハトベルグっ子。つまりはかなりの都会っ子なんです!」
「そうです! 都会っ子だからこそ街には詳しいです! ロートスたちに任せてください!」
それも、胸を叩いて自信満々に言われたものだから、ベルティーナは彼女たちに従った。
──まるでヴェルメブルグの生き写し。斜面さえあれば葡萄畑だらけなこの地を都会と言うかはまったく不明ではあるが……。と、そんなことを思いつつ、ベルティーナはわずかに後ろを振り返り、背後に聳える城を一瞥した。
「本当に大丈夫なのかしら」
「大丈夫ですよ。少し市場に行くだけですもん。城は目と鼻の先。街まですぐですよ?」
「でも私、お金は持っていないわよ?」
そもそも、この国に通貨が存在するのかも知らないままだ。ベルティーナが眉を寄せると、彼女たちは「ふふーん」と強気な表情を見せた。
「それはご心配なく! イーリスたちは幾らかお賃金の金貨を持ってますもん!」
「それにですねぇ……苗ってお野菜や切り花を買うより安価なんです。だからベル様は吟味してロートスたちに欲しい苗を言ってくださいませ! 大船に乗ったつもりで!」
またも、胸を叩いて威風堂々と言われた。
しかしその数拍後……「お城に帰ったら経費で落としたいので、ベル様の権力ちょっと借りたいです~」なんて甘えるように言われるものだから、ベルティーナは思わず苦笑いを浮かべてしまう。