呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
「とは言っても、私はシュネーバルは食べたことがないわ。美味しいのかしら?」
「ええ、それはもうほっぺたが落ちそうなほどに!」

 双子は同時に言葉を発し、頬に手を当ててうっとりと答えた。しかし、はっと我に返って、「これも経費で落とせるようにお城に帰ったらベル様の権力お願いします~」なんて懇願するように言うものだから、ベルティーナは思わず笑いそうになってしまった。

 その途端だった──また紋様のある部分がじんと熱くなった。

 しかしやはりそれは一瞬で。ベルティーナが目を見開き胸を押さえると、双子は耳をぴくりと震わせた。

「ベル様……どうしたのです?」

 心配そうに片割れに()かれて、ベルティーナはすぐに首を振るう。

「なんでもないわ……私、胸に紋様があるのだけど、少し嬉しいって思うとそこが焼けるように熱くなるのよ」

 素直に打ち明けると、イーリスとロートスは二人で顔を見合わせた後、可愛らしい笑みをベルティーナに向けた。

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