呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
「ふざけるな! 謝って許されると思ってるのか、この雌猫が! 相応の詫びをして愉しませるのが雌じゃねぇのか!」
辛辣に吐くと同時、男は丸太のように太い腕を振り上げる。ロートスは萎縮して肩を竦めた。
こんなに小さな子に、手をあげるなんてありえない。心底不快に思って、ベルティーナは咄嗟にロートスを守るように抱き寄せた。
「おやめなさい。男が寄ってたかって幼い娘に暴力を? 恥ずかしくないのかしら」
感情のこもらない冷たい声色で言い放つと、男は振り上げた腕をすっと下ろす。
「なんだお前? まるで人間みてぇな奇っ怪な姿だな……」
「ええ、人間ですもの」
──それが何か? と、毅然として告げると、男は目を丸くしてベルティーナを凝視した。だがその一拍後には、男は舌なめずりをして卑しい笑みをくくとこぼした。
「何が可笑しいのかしら。まるで見張り塔みたいに、いかにも頑強そうな男なのに、小娘が当たって砕けるとでも? 随分脆いものね」
鼻でせせら笑っていってやれば、男はさらににやにやと厭らしく笑む。
「見張り塔みたいと……これは嬉しい褒め言葉だなぁ。お前みたいに強気な女は好きだなぁ。それにお前、人間だからか? 何だか堪んねぇほどに臭うな」
男はベルティーナに顔を近づけてフゴフゴと鼻を鳴らした。そしてまた「臭せぇ」と言って嗤った。
──は……? 臭いだなんて?
ベルティーナは不機嫌そうに眉間に深く皺を寄せて、真っ正面から男を睨みつけた。
「生憎だけど、毎日入浴してるわ。臭いの根源は貴方でなくて?」
突っぱねるように言うと、男はゲラゲラと溌剌とした笑い声を上げた。
「そういえば、親方ぁ……最近ナハトベルク城に呪われた人間の姫様が輿入れに来ただとかそんな噂を聞いたが、まさかこいつじゃ」
傍らに立つひょろりとした男がにやにやとした笑みを浮かべて言うと、イノシシ牙の男は顎に手を当ててじっと吟味するようにベルティーナを見据えた。
「ええ、いかにも」
突っぱねるようにベルティーナが言い放った途端だった。イノシシ牙の男はベルティーナの腕を掴み、ぐいと顔を近づけた。
「ほぉ……あのいけ好かねぇ蜥蜴王子の婚約者か? こりゃまた面白れぇ」
辛辣に吐くと同時、男は丸太のように太い腕を振り上げる。ロートスは萎縮して肩を竦めた。
こんなに小さな子に、手をあげるなんてありえない。心底不快に思って、ベルティーナは咄嗟にロートスを守るように抱き寄せた。
「おやめなさい。男が寄ってたかって幼い娘に暴力を? 恥ずかしくないのかしら」
感情のこもらない冷たい声色で言い放つと、男は振り上げた腕をすっと下ろす。
「なんだお前? まるで人間みてぇな奇っ怪な姿だな……」
「ええ、人間ですもの」
──それが何か? と、毅然として告げると、男は目を丸くしてベルティーナを凝視した。だがその一拍後には、男は舌なめずりをして卑しい笑みをくくとこぼした。
「何が可笑しいのかしら。まるで見張り塔みたいに、いかにも頑強そうな男なのに、小娘が当たって砕けるとでも? 随分脆いものね」
鼻でせせら笑っていってやれば、男はさらににやにやと厭らしく笑む。
「見張り塔みたいと……これは嬉しい褒め言葉だなぁ。お前みたいに強気な女は好きだなぁ。それにお前、人間だからか? 何だか堪んねぇほどに臭うな」
男はベルティーナに顔を近づけてフゴフゴと鼻を鳴らした。そしてまた「臭せぇ」と言って嗤った。
──は……? 臭いだなんて?
ベルティーナは不機嫌そうに眉間に深く皺を寄せて、真っ正面から男を睨みつけた。
「生憎だけど、毎日入浴してるわ。臭いの根源は貴方でなくて?」
突っぱねるように言うと、男はゲラゲラと溌剌とした笑い声を上げた。
「そういえば、親方ぁ……最近ナハトベルク城に呪われた人間の姫様が輿入れに来ただとかそんな噂を聞いたが、まさかこいつじゃ」
傍らに立つひょろりとした男がにやにやとした笑みを浮かべて言うと、イノシシ牙の男は顎に手を当ててじっと吟味するようにベルティーナを見据えた。
「ええ、いかにも」
突っぱねるようにベルティーナが言い放った途端だった。イノシシ牙の男はベルティーナの腕を掴み、ぐいと顔を近づけた。
「ほぉ……あのいけ好かねぇ蜥蜴王子の婚約者か? こりゃまた面白れぇ」