呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
第17話 抑制の指輪に宿る力
荒々しい音を立てて納屋のドアが開いた。
開いた……否、蹴破られたと言った方が正しいだろうか。誰もがそちらを注目する。今度は何事か。だが、ベルティーナはそこに現れた存在に驚き、目を丸くする。
それは、黒髪の青年と赤髪の男装令嬢──ミランとリーヌだった。
「何たる狼藉、離れなさい、下衆が!」
がなるリーヌの声は烈しい怒気を含んでいた。リーヌはつかつかと納屋に踏み入った。
「くそ、邪魔しやがって……! 来やがったな、王城の蜥蜴どもが!」
男たちは怒号を上げて、リーヌに拳を振り上げる。だが、彼女はそれを軽々と受け流して、イノシシ男の手下たちを目にも止まらぬ速さで薙ぎ倒していった。
果たして、細く可憐な彼女のどこにそんな力があるのかも分からない。ベルティーナは呆気に取られて目を丸くした。
「……ベル様、イーリス、ロートス、ご無事ですか?」
そうしてリーヌはベルティーナたちのもとへ辿り着くなり、胸元からナイフを取り出し、麻縄を切ると解いてくれた。
しかし、あまりに急展開だ。どうして自分たちの場所が分かったのだろう……。様々な思考が交差し、ベルティーナは混乱して言葉が出せない。
だが、助かったのだろう。それだけでほっとしてしまい、今更のように身が震えた。
その様子にすぐ気付いたのだろう。
リーヌは屈んで、ベルティーナ真っ直ぐに見つめ、安心させるように肩をそっと摩り、優しく微笑む。
「もう大丈夫ですよ」
その言葉に安堵したのだろう。双子の猫侍女たちは、わんわんと泣き始め、リーヌの胸に飛びこんだ。リーヌはそんな彼女たちを大事に抱き留めながら、優しく微笑む。よく頑張った、怖かったね。と、優しく語りかけて……。
「でも、どうしてここが……」
ベルティーナが尤もなことを口に出した途端だった。
「……城下の商人から通告があった。イーヴォ、お前の悪行には多少は目を瞑ってきたが、今回ばかりは目を瞑れない。俺はお前に決闘を申し込む」
ミランは真っ正面からイーヴォと呼ばれるイノシシ男を睨みつけた。
だが、イーヴォは動じる様子もなく、下劣な笑みを撒き散らす。
「構わん構わん。それで下々の俺が勝てば、王座は俺のものか?」
「ああ、それが決まりだからな」
開いた……否、蹴破られたと言った方が正しいだろうか。誰もがそちらを注目する。今度は何事か。だが、ベルティーナはそこに現れた存在に驚き、目を丸くする。
それは、黒髪の青年と赤髪の男装令嬢──ミランとリーヌだった。
「何たる狼藉、離れなさい、下衆が!」
がなるリーヌの声は烈しい怒気を含んでいた。リーヌはつかつかと納屋に踏み入った。
「くそ、邪魔しやがって……! 来やがったな、王城の蜥蜴どもが!」
男たちは怒号を上げて、リーヌに拳を振り上げる。だが、彼女はそれを軽々と受け流して、イノシシ男の手下たちを目にも止まらぬ速さで薙ぎ倒していった。
果たして、細く可憐な彼女のどこにそんな力があるのかも分からない。ベルティーナは呆気に取られて目を丸くした。
「……ベル様、イーリス、ロートス、ご無事ですか?」
そうしてリーヌはベルティーナたちのもとへ辿り着くなり、胸元からナイフを取り出し、麻縄を切ると解いてくれた。
しかし、あまりに急展開だ。どうして自分たちの場所が分かったのだろう……。様々な思考が交差し、ベルティーナは混乱して言葉が出せない。
だが、助かったのだろう。それだけでほっとしてしまい、今更のように身が震えた。
その様子にすぐ気付いたのだろう。
リーヌは屈んで、ベルティーナ真っ直ぐに見つめ、安心させるように肩をそっと摩り、優しく微笑む。
「もう大丈夫ですよ」
その言葉に安堵したのだろう。双子の猫侍女たちは、わんわんと泣き始め、リーヌの胸に飛びこんだ。リーヌはそんな彼女たちを大事に抱き留めながら、優しく微笑む。よく頑張った、怖かったね。と、優しく語りかけて……。
「でも、どうしてここが……」
ベルティーナが尤もなことを口に出した途端だった。
「……城下の商人から通告があった。イーヴォ、お前の悪行には多少は目を瞑ってきたが、今回ばかりは目を瞑れない。俺はお前に決闘を申し込む」
ミランは真っ正面からイーヴォと呼ばれるイノシシ男を睨みつけた。
だが、イーヴォは動じる様子もなく、下劣な笑みを撒き散らす。
「構わん構わん。それで下々の俺が勝てば、王座は俺のものか?」
「ああ、それが決まりだからな」