呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
 夜半、気まぐれに人の世界に遊びに来る者もいると言われるが、今日では彼らは人間との接触を避けているそうで、その姿を見た者はほとんどいない。いたとしても、姿を変えているか眩ましているのだろうとのこと。

 陸生・水生の動植物の特徴を持つ半人や妖精として描かれることが多く、神聖なる天使や精霊とは反対の悪しき存在とされている。
 しかし、彼らは人同様に高い知性を持つ者が多いと言われている。だが、これは本の中の情報で、真実は分からない。

 それでも、これまでの話をすべて繋ぎ合わせてみれば、案外見かけ倒しで、真っ当ではないかと思える節があった。

 なにしろ、翳の女王は呪われた自分を哀れみ、呪いを解けないかと訪れたくらいだ。案外人間よりも真っ当な神経を持っているようにベルティーナは思えた。

(行ってみないと分からない。なるようにしかならないでしょうけどね。けれどきっと、こんな腐れた国より幾分かマシな場所よ)

 そこに行けば、自分も普通の存在になれるのだろうか……。わずかな期待を胸に秘め、ベルティーナは天を仰いだ。

 しかし、いつも通りの穏やかな朝だからだろうか。どう考えても、今日が嫁ぐ日など実感が湧いてこない。
 
(さて、どうなることやら)
 
 アイスブルーの瞳を細めたベルティーナは、やれやれと首を振った。

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