呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
 ベルティーナはもう一度、ミランの本来の姿をじっと見つめた。
 陽光にきらめく鱗と、咆哮で震える空。リーヌが軽く口にした「馬鹿力」という言葉が、竜の圧倒的な力の前ではまるで冗談のようだった。

「さて、僕たちは一足先に城へ戻りましょう? ミランも、あの野蛮な輩との話を片付けたら、きっと戻ってきますよ」

 リーヌはそう言うと、ジレの裾を軽く払い、紫水晶の城へと続く道を堂々と歩み始めた。
 彼女のブーツが地面の小石を弾き、軽やかな音を立てる。ベルティーナは一瞬、竜の唸りが響いた背後を振り返るが、静かにリーヌの後に続き歩み始めた。

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