呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
そう言って、双子の片割れはハンガーラックにずらりとドレスを並べ始めた。
しかし、何度見ても奇抜なものばかりだ。それも独特なデザインが多い上、背中や脚と露出が多いものばかり……。
ベルティーナは眉をひくつかせて、目を細めてそれらを眺めた。これらドレスはミラン王子が選んだものだと聞いている。今さらながらに思うが、彼の趣味だろうか……なんて思考もよぎる。
しかし、慣れもあるのか……。一度着てしまえば以前のような激しい抵抗も感じないもので、ベルティーナは前回着たものと同じドレスを選んだ。
「あれっ、ベル様、これって前に着たやつじゃないですか? お気に召したのです?」
「いいえ。一度着ている方が抵抗がないだけよ。それに前回はすぐに部屋に戻ったものだし。ちょうど良くない?」
──ただの消去法、と、きっぱりと答えると、双子の猫侍女たちは納得したかのように頷き、ドレスを衣紋掛けから外した。
黒に紫。大きな蝶をあしらった変形バッスルドレスを身に纏い、化粧を施して髪を編み込んだベルティーナは、夫婦の部屋をつなぐ通路を塞ぐベールの前で一つ息をついた。
「ねえ……このドレス、やっぱり少し破廉恥じゃなくて……?」
やはり二度目でも片脚の露出の多さには少し恥ずかしいと思えてしまった。ベルティーナが目を細めてハンナに訊くと、彼女はすぐにぶんぶんと首を振った。
「とても似合っています。妖艶で耽美ですよ?」
「じゃあ別の質問。ハンナ、貴女だったらこのドレスを着られるかしら?」
少し意地の悪い質問をしてみた。すると、ハンナは少しばかり困った顔を見せた。
(ほらやっぱり。破廉恥なんだわ!)
そんな風に思うが、困った顔を浮かべていたハンナは顎に手を当ててじっとベルティーナを見つめ、すぐに首を振った。
「……それは多分無理ですね。だって、これらドレス、きっと妖艶で高慢そうなベルティーナ様をさらに引き立たせるような雰囲気で仕立てられているんですもの」
はっきりと言われ、ベルティーナは目を瞠った。
妖艶で高慢。褒め言葉にしては不器用すぎるだろうが……似合うようにできていると言われると、まったく嫌な気はしなかった。しかし、どう答えてよいかも分からない。ベルティーナが困って顔をしかめた途端だった。
しかし、何度見ても奇抜なものばかりだ。それも独特なデザインが多い上、背中や脚と露出が多いものばかり……。
ベルティーナは眉をひくつかせて、目を細めてそれらを眺めた。これらドレスはミラン王子が選んだものだと聞いている。今さらながらに思うが、彼の趣味だろうか……なんて思考もよぎる。
しかし、慣れもあるのか……。一度着てしまえば以前のような激しい抵抗も感じないもので、ベルティーナは前回着たものと同じドレスを選んだ。
「あれっ、ベル様、これって前に着たやつじゃないですか? お気に召したのです?」
「いいえ。一度着ている方が抵抗がないだけよ。それに前回はすぐに部屋に戻ったものだし。ちょうど良くない?」
──ただの消去法、と、きっぱりと答えると、双子の猫侍女たちは納得したかのように頷き、ドレスを衣紋掛けから外した。
黒に紫。大きな蝶をあしらった変形バッスルドレスを身に纏い、化粧を施して髪を編み込んだベルティーナは、夫婦の部屋をつなぐ通路を塞ぐベールの前で一つ息をついた。
「ねえ……このドレス、やっぱり少し破廉恥じゃなくて……?」
やはり二度目でも片脚の露出の多さには少し恥ずかしいと思えてしまった。ベルティーナが目を細めてハンナに訊くと、彼女はすぐにぶんぶんと首を振った。
「とても似合っています。妖艶で耽美ですよ?」
「じゃあ別の質問。ハンナ、貴女だったらこのドレスを着られるかしら?」
少し意地の悪い質問をしてみた。すると、ハンナは少しばかり困った顔を見せた。
(ほらやっぱり。破廉恥なんだわ!)
そんな風に思うが、困った顔を浮かべていたハンナは顎に手を当ててじっとベルティーナを見つめ、すぐに首を振った。
「……それは多分無理ですね。だって、これらドレス、きっと妖艶で高慢そうなベルティーナ様をさらに引き立たせるような雰囲気で仕立てられているんですもの」
はっきりと言われ、ベルティーナは目を瞠った。
妖艶で高慢。褒め言葉にしては不器用すぎるだろうが……似合うようにできていると言われると、まったく嫌な気はしなかった。しかし、どう答えてよいかも分からない。ベルティーナが困って顔をしかめた途端だった。