呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
「わぁああ! ハンナ、すごいです! そうです! 左右非対称のドレスってナハトベルグの若年層向けのドレスでは一般的なデザインですが、限られた人しか似合わないのです。可愛いより……妖しい美しさのあるお姉さんに似合う感じです! 事前に手に入れたベル様の肖像を元に、ミラン様が似合いそうなドレスを厳選して仕立屋が作っているんですよ!」
そう言って、きゃっきゃと双子の侍女の片割れ──恐らくイーリスの方が言うが、これまた初耳だった。
しかし、肖像まで描かれていたとは……。
そんなのまったく身に覚えはない。この国の者が姿を隠して描いていたのか、それとも母国の絵描きが想像で描いていたのか……。
「ねえ、それってどんな肖像かしら……気になるわね」
呆れたように目を細めてベルティーナが言うと、ハンナはすぐに首を振った。
「そんなことより、ベルティーナ様! ミラン王子がきっと待ちくたびれていると思いますよ?」
ハンナがそう言った矢先だった。
目の前のベールがぱさりと開き、ベルティーナは驚き目を丸くする。
案の定、姿を現したのはミランで……。
しかし、こうも近づくと本当に彼は長身なのだと思い、ベルティーナは威圧されて一歩後退するが、すぐに彼に手を取られた。
「……うん。さすがに待ちくたびれたから迎えに来た。部屋も布二枚と少しの通路挟んですぐだしな。話し声、筒抜け」
淡々と言うなり、ミランはベルティーナの手を引いた。
しかし、手を握られるなんて初めてだろう。以前は拒否したものだが、こうもいきなり取られるなんて思いもせず……始めからとなれば当然のように拒否もしにくい。
それでもなぜか不快に思わず、ベルティーナはそれを拒めなかった。
「それじゃあ行ってくる。婚前の王女様だ。朝までには返すから」
それだけ告げて、ミランはベルティーナの手を引いて部屋を出た。
そう言って、きゃっきゃと双子の侍女の片割れ──恐らくイーリスの方が言うが、これまた初耳だった。
しかし、肖像まで描かれていたとは……。
そんなのまったく身に覚えはない。この国の者が姿を隠して描いていたのか、それとも母国の絵描きが想像で描いていたのか……。
「ねえ、それってどんな肖像かしら……気になるわね」
呆れたように目を細めてベルティーナが言うと、ハンナはすぐに首を振った。
「そんなことより、ベルティーナ様! ミラン王子がきっと待ちくたびれていると思いますよ?」
ハンナがそう言った矢先だった。
目の前のベールがぱさりと開き、ベルティーナは驚き目を丸くする。
案の定、姿を現したのはミランで……。
しかし、こうも近づくと本当に彼は長身なのだと思い、ベルティーナは威圧されて一歩後退するが、すぐに彼に手を取られた。
「……うん。さすがに待ちくたびれたから迎えに来た。部屋も布二枚と少しの通路挟んですぐだしな。話し声、筒抜け」
淡々と言うなり、ミランはベルティーナの手を引いた。
しかし、手を握られるなんて初めてだろう。以前は拒否したものだが、こうもいきなり取られるなんて思いもせず……始めからとなれば当然のように拒否もしにくい。
それでもなぜか不快に思わず、ベルティーナはそれを拒めなかった。
「それじゃあ行ってくる。婚前の王女様だ。朝までには返すから」
それだけ告げて、ミランはベルティーナの手を引いて部屋を出た。