呪われし復讐の王女は末永く幸せに闇堕ちします~毒花の王女は翳りに咲く~
「リーヌから聞いたと思うが、俺は女王の息子。王子ではあるが、この国を防衛する頭。この国の番人だ。人間の世界で言うところ、騎士団長や兵長と言えばいいのか……まあ、ベルたちを拉致したあいつらは、無賃飲食だの女を誘拐しただの、相当目に余る行動が多くてな。名の知れた小悪党だよ。決着をつけられてちょうど良かったと言えばちょうど良かったが……」
「それで……あの品性の欠片もない小悪党たちは、あの後どうなったというの?」
思えば処遇については詳しく聞いていなかった。ベルティーナがミランを一瞥すると、「見張り塔の中に閉じ込めている」と彼は目を細めて言った。
「つまり終身刑か処刑……?」
「まさか。数ヶ月で釈放する気でいる。そういえば、力ある者に必ず従う決闘の掟をベルは聞かなかったか?」
訊かれて、ベルティーナは曖昧に頷いた。
「敗者は勝者に……強き者に従う。そういう掟でしょう? だけど、従うふりをして闇討ちされるなんて恐れはないの?」
「いいや、それはない。そうならないようにするための幽閉期間だ。魔性の者は基本的には自由気ままな性質のせいか、極度の閉所恐怖症が多い。この前見たかもしれないが、俺たちの本来の姿って図体がかなり大きいからな。あんな場所に幽閉されりゃ大抵改心される。いつまで経っても従う気がなければ、ベルの言うように終身刑なり処刑にするだろうがな」
──そもそも、あいつは酷いアル中だ。酒が完全に抜ければ割とまともになるんじゃねえの。なんて、苦笑いで付け添えて、ミランはやれやれと首を振るう。
「そういえば、最も強い者が王になると聞いたけど……王位は直系に受け継がれるものかしら。その理論で行くと、貴方の母……ヴァネッサ女王は……」
そんな話を出すと、隣を歩むミランはくすくすと笑い声をこぼし始めた。
「何がおかしくて?」
思わず、じとりと目を細めてミランを睨んでやると、彼は優しく目を細めてベルティーナの方を一瞥した。
「いや。淡々と喋って寡黙なベルがこんなに話しかけてくれるようになって嬉しくてな。それに、鉄仮面みたいに無表情だったのにさ。結構、色んな顔ができるんだな?」
言われてベルティーナはぽかんと口を開けてしまった。
確かに、それは大いに自覚できる。だが、ミランだってそれを言える立場ではないだろう。
「それで……あの品性の欠片もない小悪党たちは、あの後どうなったというの?」
思えば処遇については詳しく聞いていなかった。ベルティーナがミランを一瞥すると、「見張り塔の中に閉じ込めている」と彼は目を細めて言った。
「つまり終身刑か処刑……?」
「まさか。数ヶ月で釈放する気でいる。そういえば、力ある者に必ず従う決闘の掟をベルは聞かなかったか?」
訊かれて、ベルティーナは曖昧に頷いた。
「敗者は勝者に……強き者に従う。そういう掟でしょう? だけど、従うふりをして闇討ちされるなんて恐れはないの?」
「いいや、それはない。そうならないようにするための幽閉期間だ。魔性の者は基本的には自由気ままな性質のせいか、極度の閉所恐怖症が多い。この前見たかもしれないが、俺たちの本来の姿って図体がかなり大きいからな。あんな場所に幽閉されりゃ大抵改心される。いつまで経っても従う気がなければ、ベルの言うように終身刑なり処刑にするだろうがな」
──そもそも、あいつは酷いアル中だ。酒が完全に抜ければ割とまともになるんじゃねえの。なんて、苦笑いで付け添えて、ミランはやれやれと首を振るう。
「そういえば、最も強い者が王になると聞いたけど……王位は直系に受け継がれるものかしら。その理論で行くと、貴方の母……ヴァネッサ女王は……」
そんな話を出すと、隣を歩むミランはくすくすと笑い声をこぼし始めた。
「何がおかしくて?」
思わず、じとりと目を細めてミランを睨んでやると、彼は優しく目を細めてベルティーナの方を一瞥した。
「いや。淡々と喋って寡黙なベルがこんなに話しかけてくれるようになって嬉しくてな。それに、鉄仮面みたいに無表情だったのにさ。結構、色んな顔ができるんだな?」
言われてベルティーナはぽかんと口を開けてしまった。
確かに、それは大いに自覚できる。だが、ミランだってそれを言える立場ではないだろう。