野いちご源氏物語 四二 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)
母宮(ははみや)が生きておられるうちは、毎日お目にかかろうと思います」
と、(おや)孝行(こうこう)なことを(かおる)(きみ)はおっしゃっている。
右大臣(うだいじん)様は、たくさんの姫君(ひめぎみ)たちのうちで、ひとりは匂宮(におうのみや)様、ひとりは薫の君とご結婚させたいとお考えだけれど、言い出しづらい。

婿(むこ)としてよその屋敷で暮らすつもりはないというようにも聞こえる。それに薫の君は私の弟で、匂宮様は(おい)だから、どちらも世間が注目するようなめずらしい縁組(えんぐみ)にはならない。しかし、このおふたり以外で婿にしたいと思えるような若者はまったくいない>
右大臣様が一番かわいがっておられる姫君は、六女の(ろく)(きみ)よ。
この方はご正妻(せいさい)ではなく典侍(ないしのすけ)が生んだ姫君だけれど、特別にお美しくお人柄(ひとがら)も優れていらっしゃる。

<典侍の子というだけで世間から見くびられているのがもったいない>
ちょうど右大臣様の奥様である(おんな)()(みや)様は、お子がなくてお寂しそうなの。
(とうと)内親王(ないしんのう)様が養母(ようぼ)になってくだされば、六の君に(はく)がつく。
右大臣様は女二の宮様に六の君をお預けになって、魅力を世間に知らせようとなさった。
(うわさ)が匂宮様や薫の君のお耳に入れば、きっと興味をお持ちになるだろう。女のよしあしを分かっておられる方たちだから、六の君のすばらしさに気づいてくださるはずだ」
あえて重々しい(あつか)いはなさらない。
現代的な雰囲気で姫君の周りを整えて、若者の心を()くように演出なさる。
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