野いちご源氏物語 四二 匂兵部卿(におうひょうぶきょう)
若君(わかぎみ)をお生みになった尼宮(あまみや)様はというと、今はただ静かに仏教の修行(しゅぎょう)をしていらっしゃる。
定期的なご法要(ほうよう)をなさるだけではご退屈(たいくつ)だから、若君がお屋敷に出入りなさるのを楽しみにしておられる。
でもね、いつまでも幼いところのある(みや)様だから、母君(ははぎみ)として世話を焼いてくださるというわけではないの。
むしろ、まるでご自分の方が子どもであるかのように若君を頼っていらっしゃる。

そんな母宮(ははみや)様も気にかかるし、上皇(じょうこう)様や(みかど)からのお召しもあるし、東宮(とうぐう)様や()の宮様、(さん)の宮様はよい遊び相手と思ってお誘いなさるし、若君はお忙しい。
<体がひとつでは足りない>とお思いになる。
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