副業家政婦の仕事に『元彼社長からの溺愛』は含まれていないはずなのに
「波留も食べるか?」
「いや、大丈夫……」

 紬を挟んで広いソファーに座り、おいしそうにクッキーを頬張る娘を二人で見守る。
 こうしていると本当の家族みたいで、胸の奥がじんわりと温かくなった。

「さて、紬ちゃん。何して遊びたい?」
「うーん。おままごと!」
「じゃあ、こっちにおいで」

 そう言って、食べかけのお菓子を持って、彼が立ち上がる。
 案内されたのは、以前私が掃除した部屋で、中には子ども用のおもちゃが揃っていた。

「すごい! 遊んでいいの?」
「もちろん」

 喜んで駆けていく紬に、私は「なんで……」と独り言を零す。すると、彼が私の頭をポンと撫でた。

「いつか、連れてきてくれたらと思って用意していた」
「私、連れてこないって言ったのに」
「結果的に、無駄にはならなかっただろ?」

 ニヤリと笑って、彼が紬の隣に座る。

 それからの紬は今までで一番楽しそうな顔で遊んでいて、気づいたら私も夢中になって紬と遊んでいた。
< 41 / 60 >

この作品をシェア

pagetop