副業家政婦の仕事に『元彼社長からの溺愛』は含まれていないはずなのに
「ママはうさぎさんね」
「おじさんのは?」
「ネコちゃん」
「ふはっ、随分と可愛らしい」
「つむぎはいるか!」
「イルカ好きなの?」
「うん。むかし、ママにかってもらったから!」

 でも、もらったうさぎもネコも好きだと言う紬に、彼が口元を押さえて顔をそらす。
 嬉しさを押さえきれないのか、口元が緩んでいた。

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しい」

 それからは、仕事を忘れて紬の相手をする。
 そうしてしばらく三人で遊んだのち、紬は飽きてしまったのか、おもちゃがある部屋に行くと言い出した。
 さすがに私も仕事をしないまま帰るわけにもいかず、紬を任せてほしいという彼に預け、私は本来の家政婦の仕事に戻る。

 今日は紬もいるから、食べやすいオムライスやポタージュを作ろう――。

 そう思って準備を進め、三十分がたった頃、眠った紬を抱きかかえて彼が戻ってきた。

「紬、眠っちゃった?」
「あぁ。だから、こっちで寝かせようかと思って」

 そう言って彼が紬を下ろしたのは、数日前に増えた新しいソファーの上である。
 この前から増えたソファーは、元々あったソファーとは違い、子どもであれば足を伸ばしても眠れるような大きさだ。もしかしたら紬が来ることを想定して、わざわざ買ったのかもしれない。
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