副業家政婦の仕事に『元彼社長からの溺愛』は含まれていないはずなのに

 ◇

「今日もいらっしゃい」

 今日も今日とて、私は家政婦の仕事をしに行くと言いながら、紬を連れて彼の部屋へ行く。
 もはや、家政婦の仕事をしに行くのが口実のようになっている気すらして、少しだけ罪悪感が沸いた。
 というのも、彼が気を利かせて、どうせ来るならもっと早い時間からおいでと言うようになったのだ。
 仕事だって忙しいだろうに、彼は毎回私たちを待ってくれている。

 彼が持ち帰りの仕事をしているときは私が紬の面倒を見て、彼の仕事が終わってからは私が家事をする。
 もはや本当の家族みたいに夜を過ごし、ついには泊まっていかないかと言われたほどだ。
 さすがに断っているけれど、泊まるのも時間の問題のような気がしている。

 そうして今日も紬を遊ばせて、私は家事をして。
 一通り終わると、彼は私をソファーに招く。

 紬が起きているときは最後まで遊ぶこともあるけれど、なんだかんだまだ子どもの紬はご飯を食べると眠ってしまうことが多い。
 そういうときは決まって、配信サービスで映画を観るけれど、最近の彼は私の隣にぴったりとくっついていることが多かった。

 飲み物はいらないか、お菓子は、ブランケットは、と甲斐甲斐しく世話まで焼かれてしまって、その特別扱いに戸惑ってしまう。
 それでも嬉しい自分もいて、今日も彼の隣で映画を観ていた。
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