御門くんの執愛攻めには抗えない~策士な年下御曹司は偽装婚約で愛し堕とす~

「美冬さん」
「うん?」

 彼に名前を呼ばれて気軽に振り向くと、いつの間に、そしてどこから取り出したのか、黎也くんが大きなダイヤのついた指輪を私に差し出そうとしている。

「えっ? あの、これは……?」

 彼の顔と指輪とを見比べ、混乱を落ち着けようとする。

「俺、美冬さんに何度も愛を伝えてきた記憶はありますけど、プロポーズは曖昧になってましたよね。だから、今日ここで改めて美冬さんに結婚を申し込もうって決めてました」
「嘘……じゃ、ないよね」

 つい、口をついて出てしまった言葉を慌てて撤回する。

 黎也くんが嘘をついたことなんて、今まで一度もない。彼の私に対する気持ちは、いつだってまっすぐで本物だから。

「よくできました。というわけで、美冬さん」
「はい」

 彼の改まった口調に、こちらも背筋を伸ばして返事をする。黎也くんの真摯な眼差しに見つめられて、鼓動が優しく揺れた。

「あなたを心から愛しています。どうか、俺と結婚してください」

 まだ誰も愛を誓い合ったことのないまっさらなチャペルに、彼の凛とした声が響く。

 自分たちが相思相愛だとわかっていても、結婚の約束はすでに交わしていても、この厳かな空間で改めて言葉にしてもらうと、胸に温かな感動が満ちていく。

 もちろん、私の返事はひとつだ。

「……はい。喜んで」

 微笑みながら承諾すると、黎也くんがそっと私の左手を取る。

 そうして薬指に嵌めてもらった指輪は、真新しいチャペルの照明の光を受けて、美しくきらめいていた。




Fin.






< 136 / 136 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:138

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

幼なじみドクターはクールなふりして愛妻家
  • 書籍化作品

総文字数/105,848

恋愛(純愛)204ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
三十を過ぎても独身実家暮らしの私。 寂しさに耐えきれず結婚したいと漏らしたら、 幼なじみの彼が提案したのは 恋愛感情を排除した〝友情結婚〟だった。 「お互いの仕事のこともよくわかってるし、親同士も交流がある。 こんな優良物件、なかなかないぞ。俺たちならきっとうまくいく」 「うん。……なんだか私もそんな気がしてきた」 元々信頼している相手だし 今さら彼に男を意識することもない。 そう思って始まった結婚生活だったけれど―ー 「美葉、すごく綺麗になったよ。昔からかわいかったけど、今はもっと」 クールな仮面をかぶった彼の素顔が段々露わになるにつれ 私の心にも、徐々に友だち以上の感情が芽生えて……? ゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.* 恋愛未経験の麻酔科医 雪村美葉(31) × 無感情の心臓血管外科医 高比良洸(31) ゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.* 幼なじみかつドクター同士の じれ甘結婚生活 2025.12.8~
離縁を告げた夜、堅物御曹司の不器用な恋情が激愛豹変する
  • 書籍化作品
表紙を見る 表紙を閉じる
結婚して一年。 ずっと片想いしていた相手だったから耐えてきたけれど… 愛のない夫婦生活には、もううんざりだ。 「――離婚しましょう」 私の決意は固い。 なにを言われても彼とやり直すつもりなんてない。 そう思っていたのに。 「愛情が持てないなんて誰が言った?」 「だって、一度も私を抱いてくれないじゃないですか……っ」 「……だったら。今からきみを抱く」 *。.。*゜*。.。*゜*。.。*゜*。.。*゜ 不器用で愛情表現が苦手な夫 財前ホールディングス御曹司 財前珀人(29) × 仕事も家庭も全力投球な妻 Zアドバンス開発部 財前悠花(27) *。.。*゜*。.。*゜*。.。*゜*。.。*゜ 最後の一夜のはずが思い切り愛され 夫婦関係にも少しずつ変化が。 そしてお腹には彼の愛の証を授かって――。 2025.8.28~2025.9.13
冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
  • 書籍化作品

総文字数/123,228

恋愛(純愛)211ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「人を疑うことが仕事で 時には罪のない人まで起訴するんだから 検事なんて信用できない」 辛い過去を持つがゆえに検事嫌い にもかかわらず 会社の意向で東京地検に派遣されてしまった食堂スタッフ 村雨琴里(24) × 「変な料理を勧めるのはやめてくれ。  注文は塩サバ定食だ」 眉目秀麗なエリート しかし、食堂スタッフには冷たい冷酷検事 神馬鏡太郎(31) 過去の事件を調べるため偽装夫婦となったふたりは お互いを探り合ううち惹かれ合い いつしか本物の愛と新しい命が芽生えて――… 2025.4.24 完結

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop