【完結】売られた令嬢は最後の夜にヤリ逃げしました〜平和に子育てしていると、迎えに来たのは激重王子様でした〜
母を逃す作戦は大成功だった。
御者に協力してもらい、馬車は崖の下。
一台馬車をダメにしてしまったが、今まで遊び回り、母を蔑ろにしていた父への復讐となり、ざまぁみろといった形だ。
だが、父は予想もしない形で母が亡くなったことに大喜びした。
先代の頃から勤めていた執事も父がこんなにも落ちぶれているとは思わなかったそうだ。
それはシルヴィーと同じ気持ちだった。
まさか母が死んだことを喜ぶほどだとは思わなかったのだ。
生き残った御者も咎められるどころか褒められたと聞いて愕然とした。
シルヴィーがここに残ったのは母のためでもあるが、まだ父からの愛があるのだと信じたかったのかもしれない。
そんなはずはないのに愛されてしまう未来を望んだ自分の甘さが浮き彫りになったような気がした。
葬儀は遺体もないからとあっさりとしていた。
大した確認もしなかったため、シルヴィーも一緒に死んだことにしていたら何が変わっただろうか。
でもこれで母は助かるのだと安堵する。それがわずかな希望だった。
そこからは母の予想通り、父はすぐに後妻を連れてきた。
我がもの顔で屋敷に入ってきた義母は、シルヴィーを思いきり睨みつけた後に頬を叩いた。
しかし父は何も言うことはなかった。