そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
……嘘。
だって今日一日、いなかった。
連絡も、姿も。
また一人で何かやってるんだろうな、って。
そう思いながらも、どこかで、何もないことを願ってた。
影の向こうから、ゆっくりと人影が現れる。
街灯の明かりに照らされた、その横顔。
血が、頬に跳ねている。
足元には、倒れて動かない影。
「……律……?」
声が、勝手に震えた。
まただ。
また、ひとりで。
また、私の知らないところで。
胸の奥に、ちくりと刺さるものがあった。
「あれ、彩葉?と、蓮くん?」
律はそう言って、倒れている相手から視線を外す。
まるで、落ちているゴミでも見るみたいに。
その足元では、敵の通信機を踏み潰している。
私に視線を向けた後、なにか言おうとしていたけど、気まずそうに目を逸らされる。
「あー…。」
数秒後、律がこちらを見た。
それから、周囲を一度見回して。
「……言いたいことは後で全部聞くから、今は見逃して。まだ終わってないから」
今すぐにでも問い詰めたいど、その言葉の意味がわからないほどではなかった。
まだ敵がいる、すぐにでも、戦闘になる。