そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
そこにいたのは。
蓮へ向けていた銃は床に投げ捨て、
仲間であるはずの者たちを、見下ろす男。
さっきまで浮かべていた、軽薄そうな笑みはもうない。
感情が、完全に削ぎ落とされた顔。
人の温度を感じさせない、冷たい視線で。
「殺すなって、言ったよね?」
淡々とした口調。
でも、目だけが、異常に冴えている。
「お前らが桜庭を恨もうが、どう思おうが」
発砲したであろう者に一歩づつ近づいていく。
「俺は恨んでねーから殺すなって言ってんの。わかる?」
そう言われて怯えるように銃を下げた発砲した男は、何か言おうとした瞬間。
腹部に、容赦のない一撃。
身体が、地面を転がった。
「……っ、す、すみま……」
「次やったら」
しゃがみ込み、髪を掴み上げて。
目を合わせる。
「──お前ら殺すから」
声は静かで、怒鳴ってすらいない。
だからこそ、異常に怖い。
言葉もなく、頷くしかない様子だった。
……この人、ずいぶん偉い立場の人なのかもしれない。