そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
「ごめ……っ、私が……私が……」
視界が、歪む。
涙なのか、汗なのか、分からない。
息を吸おうとしても胸が強く締め付けられて、うまく空気が入ってこない。
四年前の記憶が何度も重なって、
今の光景を上書きしてくる。
また、庇わせた。
私のせいで。
大事な人が、怪我をした。
そんな思考ばかりが、頭の中を埋め尽くす。
「彩葉」
名前を呼ばれて、はっとする。
律が、私の視界に入る位置までしゃがみ込んでいた。
無理に引き剥がそうとするでもなく、ただ、目線を合わせてくる。
声は確かに耳に届いている。
それなのに、身体がうまく反応しない。
まるで、時間だけが私を置き去りにして先に進んでしまったみたいだった。