そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
「生きてる。そこまで深くない、大丈夫だよ」
私を落ち着かせようとしてくれてるのがわかる。
私はその言葉を信じようと、必死に呼吸を整えた。
浅く、乱れた息をひとつずつ、身体に戻すように。
「……っ、でも……」
それでも、どうしても不安が消えない。
視線が蓮の手元に落ちる。
自分の指先が、冷たくなっているのが分かった。
そんな私を見て、蓮は一瞬だけ困ったような顔をした。
それから、ほんの少し間を置いてゆっくりと口を開く。
「……落ち着け」
撃たれた方の腕じゃないほうで、私の手首を包む。
「ほら、ここ」
そう言って、私の手を自分の胸に押し当てた。
どくん、どくん。
確かに聞こえる、心臓の音。
一定のリズムで刻まれる、生きている証。
「な?」
少しだけ、口角を上げる。
無理をしているのが、はっきり分かる笑い方。