そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
──夜。
リビングの廊下を通った時、
ドアの隙間から話し声が聞こえた。
「彩葉ちゃん、この前お願いした件だけど…」
「あ、もうそれ終わってますよ!」
絢斗と、彩葉の話し声。
無意識に足が止まった。
でも、隙間から見えた彩葉は……笑っていた。
柔らかい、いつもの笑顔で。
「絢斗さんこそ怪我、大丈夫ですか?」
「おかげさまでね。」
他愛もない会話。
楽しそうな空気。
……俺には、見せなくなった表情。
別に、絢斗に嫉妬してるわけじゃない。
でも、胸の奥が、ぎゅっと掴まれたみたいに苦しい。
ここ最近の俺の方を見る時の彩葉はどこか緊張していて。
「……」
気づいてしまった。
やっぱり、俺だけ距離を取られている。
……でもなんで。
あの夜、彩葉は俺に好きだと言った。
それで、なんで急に避けられる。
俺が、何かしたのか。
──俺が、彩葉を庇って怪我したから?