そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
俺は、お前に守られたいわけじゃない。
隣に立ちたかっただけだ。
もしまた狙われることがあっても。
危険に巻き込まれることがあっても。
俺は一緒に戦う。
それでも、俺は隣にいたかった。
……なのに。
あれは別れのつもりだったのか。
それとも、未練だったのか。
考えても、答えは出ない。
──数日後、うちに新しい護衛が来た。
彩葉がいなくなったから、その代わり。
頭では理解してる。必要な措置だってことも。
でも、胸の奥は納得していなかった。
「蓮、大丈夫?」
ぼんやりしていた。
だから、絢斗の声に反応するのが少し遅れた。
「……何で?」
絢斗は1度目を伏せてから、落ち着いたトーンで続ける。
「……最近ずっと、元気ないのは……彩葉ちゃんがいなくなったから?」
護衛が変わったぐらいで、なんだって話だ。
その程度で、周りから見てもわかるぐらい顔に出てしまっているらしい。
「……別に、」
そう答えたけど、絢斗は何も言わずに苦笑した。
気づけば、無意識に自分の頬に触れていた。
あの夜確かにここに触れた唇。
……切り替えられるわけ、ねぇだろ。