そのキス、契約違反です。~完璧王子の裏側には要注意~
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Aegisに戻ってからの日々は、無心だった。
あれから Nocturneが接触してくることもなくて。
任務、報告、訓練、の毎日。
考える暇があると思い出してしまうから。
常に何かしていたくて、1日に詰められるだけスケジュールを詰め込む生活。
……心が、もう何も感じていないみたいに。
「彩葉、ここのところ任務受けすぎじゃない?体持たないよ」
でも、そんな私の一番近くにいてくれるのは、やっぱり律だった。
Aegisで初期の私は“戦闘マシンみたい”なんて言われていたせいで昔は他の子から距離を置かれていたし、だから今も特別に仲の良い人がいるわけじゃない。
それでも律は、当たり前のように隣にいた。
「んー、大丈夫。」
全然、大丈夫ではない。
体力に見合わない任務量。
このまま続ければ、いつか身体が悲鳴を上げる。
でも、そう思わないとやっていられなかった。
夜、一人の部屋で天井を見上げると決まって思い出してしまう。
……今頃、蓮、どうしてるかな。
なんて、考えた瞬間胸がずきりと痛む。
私は、そばにいないって決めた。
好きだから。
大切だから。
守るために、忘れてもらうために。
布団に顔を埋めて、声を殺す。
「……ばか」
それでも。
…あんなこと言われて、忘れられるわけないじゃん。
心の奥で、
まだ、呼んでしまう。
蓮の名前を。