鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「そう。本当に好きなんだね。うん、それなら、私は牧野ちゃんを応援する! 応援するんだけどね……」

 篠田のなんともいえない反応に、一つの仮説が浮かび上がる。梢よりも先に孝仁のよさに気づいていた篠田だ。彼女もまた、孝仁に想いを寄せているのかもしれないと。

「もしかして、篠田さんも……?」
「あっ、違う、違う。部長のことは上司として尊敬してるけど、そういう感情はないよ。断言する。でも、そうじゃない人もいてね……」
「……え?」

 篠田の言いたいことがわかるようでわからない。梢以外にも孝仁を狙っている人がいると言いたいのだろうか。でも、そんなことは誰もがわかっている。あえてここで言うことでもないだろう。

「うーん、今のところ噂レベルでしか聞いてないから、牧野ちゃんに伝えるべきか悩ましいんだけど……でも、一応話しておこうか。知らないままで、変に傷ついてほしくないから」

 不穏な流れに逃げ出したい気持ちが湧き起こる。続きを聞いたら、それこそ傷ついてしまうのではないかと。

 だが、篠田が意図的に梢を傷つけるはずもない。きっと必要なことだと思っているのだ。

 それならば、篠田を慕っているものとして、受け入れるのが正しい。梢は躊躇いながらも、「はい」と答えた。
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