鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「こ、恋人!?」
「たった今、恋人になっただろ」
「部長と、私が、恋人……? それはつまり、好き同士ってことで……え、本当に部長は私が好き? で、でも、そんな素振りは全然……はっ、もしかして夢を見――」

 つぶやきを強制的に止められる。目の前には孝仁の美しい顔。唇にはやわらかななにかが触れている。

「夢ではない。理解したか?」
「い、いいい今、チュ、チュ、チューした!?」
「君はネズミか? チューチューうるさいぞ」
「だ、だって、部長がチューするから……!」
「恋人になったんだ。キスくらいするだろ。嫌だったのか?」

 その問い方は卑怯だ。好きな人にキスされて嫌なわけない。むしろ嬉しくてたまらない。

 けれど、ほんの数分前まで失恋を覚悟していたから、あまりの変化の幅についていけない。

「い、嫌じゃないです……でも、まだ恋人になった実感もないのに」
「だったら、いくらでも実感させてやる」

 もう一度唇が触れ合う。今度は梢を慈しむように、何度も軽く口づけてくる。孝仁の顔にはとてもやわらかな笑みが浮かんでおり、本当に好いてくれているのだと伝わってくる。
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