鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「それで、残りの四つは期限までに仕上げられそうか?」

 梢が黙ってしまった理由など気にもしていないのだろう。先の話題などもう興味はないと言わんばかりに、新たな質問を投げてくる。しかも、答えづらい質問だ。今まさに頭を悩ませているところだから、簡潔に答えるのも難しい。

「そう……ですね。できるとは思いますが、また少し行き詰っていて……せっかくならいろいろな企画を考えたいんですが、どうしても似たり寄ったりなものばかりになってしまって」
「そう次々に新しい企画が生まれるものではない。十の企画を考えるのは簡単なことではないんだ」

 甘く見るなと忠告するような物言いに、心の中で暴言が炸裂する。

(はあ!? どの口がっ……あなたがそれを私に課したんですけど!?)

 この課題は梢自らが望んで挑戦しているものではない。目の前のこの男に唐突に課されたものだ。

 初めから難しいとわかっているなら、梢のレベルに合わせて調整してほしかった。

 それを、壁に行き当たっているタイミングで後出しで言うのは、なんとも底意地が悪い。

 孝仁からすれば常識なのかもしれないが、こちらは初心者だということをよくよく理解してもらいたい。

 胸中で怒りが渦巻き、こめかみがぴくつく。
< 56 / 118 >

この作品をシェア

pagetop