鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「部長、ありがとうございます! 私一人ではその考えに至れませんでした。仰る通り、カスタマーサポート部での経験を活かせば、残りの四つも期限までに仕上げられそうです」
「では、期限の延長は必要ないな」

 さらっと言われたが、今のは重要な台詞だったのではないだろうか。

(あれ? もしかして無理って言ったら、延長してもらえた!? 嘘……それなら延長してほしかったのに。でも、もうできるって言っちゃったよ……)

 勢いに乗って自ら言ったことだが、しっかりと言質を取られてしまった以上、今さら無理だとは言えない。

 梢は苦笑いを浮かべつつ、渋々、本当に渋々同意を示す。

「が、頑張ります……」
「牧野、今の自分を作り上げているのは過去の自分だということを忘れるな。いかなる経験も己の糧となる。カスタマーサポート部で得たことを無駄にしないように」
「はい。それはもう重々承知しました。しかと胸に刻んでおきます」

 課題のことだけでなく、今後の仕事においても役立つ考え方だ。さすがに忘れることはないだろう。

 孝仁は満足したのか、軽く頷き、おもむろに椅子から立ち上がる。

 思った以上に長いやり取りだったが、ようやく解放してもらえそうだ。
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