鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「牧野、残念だったな。気持ちはわかるが、お前にはまだ早い。諦めろ」

 永山は梢を慰めるように肩をポンポンと叩いてくる。

(なんか……なんか屈辱! 完全な勘違いなのに、どうして私がこの人に慰められてるの)

 部長職を狙っていると勘違いされていることにも、永山に下に見られていることにも、不快感を覚える。そもそもこの人と同列に並べられるのが嫌だ。

 もちろん経験の浅い自分が永山よりも優れているとは思っていない。永山にも学ぶべきところはある。ちゃんと分はわきまえているつもりだ。けれど、本質的なところで、永山の同類とは見られたくない。

 いろいろと言いたいことはあるものの、ここで取り合ってしまえば、同じ穴の狢だ。ここは適当に躱すのが正解だろう。

「ははは、そうですねー……じゃあ、私は仕事に戻りまーす」
「おう! 励めよ!」

 永山はご機嫌な顔で去って行く。

 ほんの少し会話しただけだというのに、ドッと疲れてしまった。

(はあー、真面目に仕事しよ)

 孝仁から小言を食らうのも、永山に絡まれるのも御免だ。

 梢は己の頬を軽く叩き、気を引き締め直す。そうしてしっかりと仕事モードに切り替えられたからだろう。課題の最終チェックはほどなくして終わり、なんとかその日のうちに孝仁へ提出することができた。
< 81 / 118 >

この作品をシェア

pagetop