鬼上司のバニーガール ~部長、あなたが撫でているのは愛兎ではなくあなたの部下です~
「牧野、暇を持て余しているようだな」

 平和を満喫していたはずなのに、一体どこで狂ってしまったのだろう。どうやら平和を維持することは容易ではないらしい。遠のいていたはずの地獄が戻ってきてしまった。

 孝仁があの恐ろしい目つきでこちらを見下ろしている。

「い、いえ。そのようなことは……」

 隣の同僚はすでに自分のPCに向かい、作業を再開している。なんと変わり身の早いことだろう。孝仁の下で働くにはこれが必須のスキルなのかもしれない。

 梢も倣いたいところだが、名指しされた状況では叶わない。

「その様子なら、時間はあるだろ。今から課題へのフィードバックをする。必要なものを持って、ついて来なさい」
「あっ、はい!」

 この人はいつも唐突だ。お説教が続かなかったことには安堵しつつも、とうとうこのときが訪れたのだと俄に緊張を覚える。

 課題は自分なりに頑張ったつもりではいるが、厳しい指摘を受ける可能性は高い。梢はなにを言われてもへこたれないよう、小声で「よしっ」と気合を入れてから立ち上がった。
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